子どもの未来は父親で決まる?教育移住のカギを握る「教育オヤジ」を育てる秋田のプログラム

「イクメン」ではなく、子どもと共に生き方を探究し学び続ける「教育オヤジ」を目指せ。

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移住する、子育てする、教育する、これらのアクションをしていく上で”オヤジ”の視点から語られることは少ないのではないだろうか。

今年、秋田の子育て環境体験事業で「ナナメ上いく教育オヤジキャンプ」が秋田県主催で行われることになった。

一体なぜ、”教育オヤジという言葉が出てくるのだろうか。

父親が子どもと接する時間と若者の幸福度の関係

OECDのPISA調査によると、加盟35カ国のうち、「若者が幸福と感じる割合」が日本は最低レベルに低い。

PISA調査「生徒の生活満足度」

若者が幸福を感じない理由は数多くある。その理由の1つとして考えられるのが、「家族と食卓を毎日囲み話す」時間の少なさだ。OECDのデータによると、「家族と食卓を毎日囲み話す」ことが多い国と、若者の幸福率は、正の相関にあった。

世界20カ国2万人を越える若者を対象に行われた「VarkeyFoundation のGeneration Z: Global Citizenship Survey (2016)」調査によると、日本の若者は、調査した20カ国の若者の中で、幸福度が最も低いと感じている。(韓、米、中、印、アルゼンチン、トルコ、ブラジル、ドイツ、イスラエル、イタリア、ナイジェリア、ロシア、南アフリカ、英国、インドネシア等)

日本の若者は、なぜ幸福だと感じていないのだろうか?相関を示すデータとして「家族との関係」が挙げられる。若者の未来に何が最も重要かという問いには、「家族」がどの国でも最も重要視されていた。また、地域社会への帰属感は、各国で「家族」が一番高かった。しかし、幸福度が低い結果となった日本と韓国だけは「家族」より「学校」への帰属感が上回っていた。

家族と時間を過ごすことの重要性をデータからも理解してもらえただろう。家族との時間の中で、特に父親は子どもと接する時間が少ない。

家庭教育に関する国際比較調査(平成16年―17年/文部科学省)」で、0歳~12歳までの子どもを持つ親を対象に調査をしたところ、日本の父親は平日子供と過ごす時間は3.1時間と、韓国の2.8時間よりは長いが、タイ5.9時間、スウェーデン4.6時間、アメリカ4.6時間と比べて短い。

一方、母親が子供と過ごす時間は、7.6時間と6カ国中最も長い。世界と比較した際に、日本は母親と父親の子供の接触時間の差が最も大きいことがわかる。上記調査では、日本の父親はこのような「子供と接する時間を取れない、母親まかせ」の状況を良いと思っているわけではなく、父親の約4割は「子供と接する時間が短い」と悩んでおり、この悩みは、平成6年調査時28%だったのが、41%に増加している。

総務省のデータ(※1)によると、1日の家事育児時間の平均は母親と比較して、父親は6時間半も少ないことがわかる。こうした数字は、もちろん長時間労働など、社会システムの中で構造的に生まれている状況もあるが、それでも父親がもっと子どもたちと関わっていくことで、家族と過ごす時間が増え、若者の幸福度が向上すると考えられる。

(※1:平成23年の総務省「社会生活基本調査」によっても、6歳未満児のいる世帯について、 1日の家事・育児関連時間は、夫は1時間7分(うち育児時間は39分)である一方、妻は7時間41分(うち育児時間は3時間22分)となっている)

変化しつつある父親のライフスタイルとワークスタイル

父親が子どもと過ごす時間は、若者の幸福度に影響すると考えられる。データから見るに、これまでの日本の状況は良いとは言いがたかった。だが、日本の父親も変わり始めている。

ファザーリング・ジャパン等のNPOが『イクボス宣言』や『働き方革命』『転勤フォーラム』などを行い、東京を中心に「父親」の生き方が変わりつつある。テレワークや副業解禁の会社が増えてきたことによる社会の仕組みの変化も、父親の新たな生き方を後押ししている。

時代は大きく変化しており、変化の波は父親のワークスタイルだけではなく、子どもの教育にも押し寄せている。各地には先進的な教育の事例が登場してきており、教育のあり方は多様化が進んでいる。仕事や暮らす場所の流動性が高くなっている今、子どもの教育のために移住することも十分考えられる。

二拠点教育にローカルとデジタルのハイブリッド教育−−各地の先進事例から子どもの学びの未来を探る!

働く場所や時間の自由を手にできるようになってきており、子どもと過ごす時間を増やし、子どもに合った教育も選ぶことができるようになってきている。この時代の流れを掴んでいる人々の中には、これまで主流であった「進学塾に行かせ、良い大学に行かせ、良い就職先に入るために子どもを学ばせる」という行為に違和感を抱く人もいるだろう。

都心部で子どもの教育環境をより良くしたいと考え、最新の教育方法、学習方法を求めている父親にとって、子どもの教育のために移住する「教育移住」というスタイルはフィットするのではないだろうか。

移住のためには地方に仕事が必要

だが、教育に対する意識が高く、子どもと過ごす時間を長くしたいと考えていたとしても、仕事がなければ移住はできない。移住を検討する際に一番ネックとなるのは「今の仕事をどうするか」だ。父親が仕事面を含めて検討し、決断しないことには移住は先に進まない。

国土交通省の調査によると、主に20〜39歳の子育て層が含まれる地方移住希望者は、「主な職業を持ちながら農業等の副業をもって生計を立てたいと願う者」が地方在住者に比べて多い。

国土交通省 国民意識調査「地方在住者の働き方と地方移住希望者が希望する働き方」

新しい教育に興味関心がある層の多くは、自営業や起業家、エンジニアやデザイナーなど、クリエイティブクラスの保護者が多いことが特徴として挙げられる。いきなり右も左もわからぬ土地で正社員で働く、という働き方ではなく、自分たちが都市部で行っていた仕事を継続しつつ、仕事を掛け持ちして生活の安定を図ろうとしているのだ。

場所を選ばずできる仕事と、その土地ならではの仕事をハイブリッドするワークスタイルは、新しい教育に関心があり、「教育移住」を検討する層とマッチする。

”子どもと共に”生き方を探究し学び続ける「教育オヤジ」

場所や常識に依存することなく、自ら子ども以上に学び続ける。教育環境が良いと聞くと、子どもと一緒に訪れ、良ければ子どもと仕事を探したり、創ったりしながら、最終的に引っ越す。必要とあらば、子どもの学習教材さえも自分でつくる。そんな、”子どものために”ではなく、”子どもと共に”自らの生き方を探究し学び続ける父親像が「教育オヤジ」だ。

秋田県では、教育・子育てのために移住することも視野に入れるような子育て世代へのアプローチに挑戦しようとしている。そのアクションの一つである「ナナメ上いく教育オヤジキャンプ!」の目的は、「教育オヤジという」新しいライフスタイルを提案し、 父親に新しい生き方や働き方の選択を促すきっかけを生み出すことにある。

ナナメ上いく教育オヤジキャンプ!」では、そんな教育オヤジたちをターゲットにしている。秋田県ならではの教育・子育て環境を父親層に伝え、都心では環境的に難しかった自然体験や、探究プロジェクト、秋田県の探究型授業など、子どもとの関わり方について知識や知恵を父親層に持ってもらい、秋田への移住を考えてもらうことが目標だ。

さらに、現地のキャンプでは地域にどんな仕事があるか、参考となる仕事を子どもが学んでいる間の一部時間を使って伝えていく。都心部で行っていた仕事を、仕事ごと秋田の各地域に持ってくることができ、加えて地域で足りない仕事を補うこともできるよう、マタギや漁師、起業家など参考となる事例を紹介していく。

秋田の教育や子育ての形について触れられるミートアップイベントが、7月9日に東京で開催される。「教育移住」が気になる「教育オヤジ」な人はぜひチェックしてみてほしい。

秋田の教育ミートアップ!vol.1

■対象:幼児〜小学6年生の子どもの保護者の方、教育関係者の方、秋田の教育に興味がある方など、どなたでもどうぞ

■場所:東京都千代田区 TIP*S
(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)

■日時:2017年7月9日(日)13:00〜15:30 (受付開始12:30〜)

※子どもの託児スペースあり(イベント中は保育士が常駐)
※企画の順番・内容は都合により変更となる場合もございます。

《コーディネーター 松浦 真》
1981年生まれ。2007年NPO法人cobon設立、2016年秋田県五城目町にて合同会社G-experience設立。これまで10年間で20000名、200を超える小学校でワークショップを実施。キッズデザイン賞などを受賞。

■プログラム

13:00〜全体説明
13:10〜パネルディスカッション1
13:30〜2-3人での対話の時間
13:40〜パネルディスカッション2
14:00〜2-3人での対話の時間
14:10〜休憩
14:20〜ワールドカフェ
14:50〜2-3人での対話の時間
15:00〜教育オヤジキャンプのプレゼンテーション
15:10〜質疑応答
15:25〜アンケート/終了

■ゲストプロフィール

ハバタク株式会社 代表取締役 丑田俊輔さん

学生時代、千代田区の公共施設をまちづくり拠点として再生する事業に参画。その後、日本IBM(株)にてコンサルタントとしてグローバル戦略を担当。2010年にハバタク(株)設立。高校・大学向けのグローバル教育事業を展開。2014年より秋田県五城目町に移住し、田舎発の起業家=土着ベンチャー(ドチャベン)創出や、様々な教育事業の展開、古民家を発端にネットワーク型の村をつくる「シェアビレッジ・プロジェクト」等を進めている。

マタギカメラマン 船橋陽馬さん

1981年男鹿市出身。2009年多摩美術大学に入学。在学中よりフォトグラファー神林環氏に師事。2012年秋田に戻り、ANA機内誌「翼の王国」、秋田県庁発行「のんびり」などの撮影をする。マタギ発祥の地、国重要無形民俗文化財「根子番楽」で知られる根子集落に住み、マタギの文化、山間部の人々の暮らしを記録し続けている。

秋田県教育庁 生涯学習課 主任指導主事 山田仁美さん

1967年秋田県上小阿仁村出身。仁賀保町立仁賀保中学校 (現:にかほ市立仁賀保中学校)をはじめ県内の4中学校を歴任。2008年、北秋田市教育委員会に勤務。2013年、県教育庁義務教育課指導主事を経て、2017年から現職。「秋田で学ぼう!教育留学推進事業」を担当。

主催:秋田県

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ナナメ上いく学びの世界編集部
ナナメ上いく学びの世界編集部

目まぐるしく変化し続ける社会の中で、どのような働き方、生き方をするのかの問い直しが、あちこちで生まれています。そんな時代の大きなうねりを生きる子どもたちが学び、育つ土壌や環境にも、これまでにない潮流・あり方が生まれているはず。「ナナメ上いく学びの世界」は、新たな教育の流れをお伝えしていきます。

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