いたるところに“学び”が!五感で感じることの大切さ【教育キャンプ・秋田県南vol.3】

2017年9月16日〜18日に秋田県で行われた「ナナメ上いく教育オヤジキャンプ」の県南コースをレポートしています。

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2017年9月16日〜18日に秋田県で行われた「ナナメ上いく教育オヤジキャンプ」の県南コースをレポートしています。

地元食材を活かした料理を堪能

東成瀬小学校での体験授業・校内ツアーを終え、目指すはデリカテッセン紅玉!待ちに待ったランチタイムです。地元の食材を活かした料理が食べられる人気のカフェレストラン、デリカテッセン紅玉のおしゃれな佇まいに一同の期待も高まります。

デリカテッセン紅玉の高橋基さんが、料理に使われている地元の野菜や体に優しい調理法を紹介してくれました。

この日のメニューは地元のりんごを食べて育った豚のウーロン茶煮、地元の野菜を使った、ポテトサラダやなすとトマトときゅうりのサラダなど。お料理はすべて、化学調味料や精製塩、白砂糖などは使わずに作られているそうです。

サラダに使われているトマトは、地元の農家の方が自然に近いソバージュ栽培で育てたもの。農家の方がサラダとは別に、箱いっぱいのトマトを子どもたちにと届けてくれました!採れたてトマトは甘さが濃くて、普段食べているものよりずっとジューシー。口に入れると薄い皮がぷちんと弾けます。

関東から遠く秋田までやってきた子どもたちにとって、地のものを食べることはもちろん、食事や野菜を作った方々からお話を聞くことはきっと特別な体験になったはず。

目の前の食べ物やそれを作ってくれた人に感謝をしながら食事をすることは、とても貴重な「食育」の場です。

さっき食べた野菜や果物はどうやってできているの?

おいしいごはんでお腹いっぱいになったら次の目的地、横手市にあるさとう農園へ出発!台風の影響が心配されていましたが、この時点ではまだ曇り。予定通りにプログラムを進められそうで一安心です。

さとう農園の佐藤和也さんは、東京のイタリアンレストランで働いたあと、2010年に秋田に帰郷。2年間果樹試験場で研修を受け、現在はさとう農園の4代目園主として主にりんごの栽培を行っています。

雨が心配なので、早めに農園に行きましょう!…ということで、山の上の農園へ。小さい子たちには少し大変な上り坂でしたが、みんな頑張りました。歩きながら子どもたちは、佐藤さんに質問攻めです。

子ども:いっぱいクローバーがあるけど、四つ葉もある?
佐藤さん:これだけたくさん生えているからあると思うよ
子ども:なんでこんなにたくさんあるの?
佐藤さん:クローバーはりんごを育てるのに大切な役割を持っていて、りんごが大きくなるのに必要な水分をためてくれるんだよ。

子どもたちは、雑草のようなクローバーが大事な役割を持っていると聞いて、びっくりした様子です。

農園に全員が集まったところで、佐藤さんがりんごについて話をしてくれました。横手市のりんご園は、さとう農園のある横手盆地の東側、そして山の上に集まっているといいます。なぜだか分かる?と子どもたちに問いかける佐藤さん。

「山の上にあるのは雨が降ったときに、水が上から下に流れるから!」と水はけの良さに着目した男の子の回答が見事正解しました!

盆地の東側にりんご園が位置する理由は、りんごには西陽が大切だから。たっぷりと西陽を浴びたりんごは赤く、甘くなるのだそうです。

その後、子どもたちはりんご狩りを体験しました。赤く実った「ファーストレディ」という品種のりんごを自分たちの手でもぎ取ります。

子どもたちは、自分でとったりんごをその場でがぶり!片手に余る大きなりんごをおいしくいただきました。

りんごはさくさくとした歯ごたえがしっかりあるのに、噛むたびに甘い汁がじゅわりとしみでるほどジューシー。お昼ごはんを食べた後で、決して空腹ではなかったはずの子どもたちが勢いよくりんごにかぶりついているのが何よりおいしさの証拠です!

おいしいりんごを堪能した後は、佐藤さんが前日に仕掛けてくれた、「落とし穴」を探します。

土の中に仕掛けてあった紙コップでできた落とし穴のなかには、ゴミムシやコオロギなど農薬に弱い虫たちが。これは農薬の使用をできるだけ抑え、自然の力を活かす多種多様性の農業をしているさとう農園だからこそ見られる虫たちの姿です。

農薬をあまり使わない分、佐藤さんは、手間と時間をかけてりんごを育てています。言葉にしてしまうと簡単ですが、害虫と戦いながらの農作業は本当に大変なことだと佐藤さんは話します。

また、りんごの木だけを残して他の木や草を切って平たくしてしまえば作業はぐんと楽になります。ですが、多種多様性の農業を行うさとう農園では土地に自生している植物を作業のために切ってしまうことはありません。それは、その土地が持つ元々の力を残すためだそう。

実際にさとう農園は歩くだけでも一苦労。子どもたちもそこでの作業の大変さを実感することができました。

“おいしい”は食べ物を口にすれば感じられるけれど、“安心”は、見るだけ、触るだけ、口にするだけでは決して分からないもの。「子どもに安心して食べさせられるものが地域のなかで育まれているというのはとても羨ましい環境」と話す親御さんもいました。

安心安全、そしておいしい秋田の「食」の世界

さとう農園での最後のプログラムは、さとう農園のりんごだけで作られたストレートジュースと市販のりんごジュースの糖度測定。ここからのファシリテーターは、果樹試験場場長の森田泉さんです。

まずは、2種類のジュースを飲み比べます。

このプログラムには大人の方が興味深々。どちらがおいしいですか?と差し出された2種類のりんごジュースは、満場一致で片方の勝利!もちろんそれは、さとう農園のりんごから作られたストレートジュースでした。

市販のジュースは運送コスト削減などの理由から、一度水分を抜いた後に再び水を加える濃縮還元がほとんど。落ちた味を取り戻すために、砂糖や塩を加えることもあるそうです。

光の屈折性を利用した糖度計でジュースの糖度を測ると、市販のジュースが16.5、さとう農園のものが14.6という結果。糖度は必ずしもおいしさと比例しないということが分かりました。

子どもには安心安全なものを口にしてほしい、それはきっと誰もが抱いている理想です。ですが首都圏では、農家の方のお顔を見てお野菜や果物を選ぶのはとても難しいこと。さとう農園では、秋田に広がる理想的な「食」の世界を垣間見ることができました。

子どもが持つおいしいものを判断する力

夜はみんなが楽しみにしていたバーベキューです!場所は、株式会社こめたびの代表である首藤郷さんがオープンした、住居と交流の場を兼ねた「よこてのわがや」。

首藤さんは、出身である東京に住んでいた頃に秋田の農家で育ったお米を希望者の元に直送する株式会社こめたびの仕事を開始。その後、より深く関わるために秋田に移住してきたそうです。

料理を準備している首藤さんに子どもたちからの質問がとびます。

子ども:この変な形のナスはなんて言うの?
首藤さん:米ナスだよ。
子ども:なに作ってるの?
首藤さん:みんながお昼に食べたトマトでトマトソースを作ってるんだよ。パスタがいいかな、スープがいいかな?
子ども:スープ!

オープンキッチンで作られるお料理に、子どもたちは興味津々。首藤さんは手際よく地元で採れた野菜で料理を作ってくれました。

苦味のある野菜もありましたが、子どもたちは「おいしい!」と料理をもりもり口に運びます。そんな姿を見て「普段野菜を進んで食べることは少ないし、特に苦味のある野菜は食べられないことが多いのに」と親御さんたちは驚きを隠せない様子でした。

目の前で、首藤さんがお話ししながら作ってくれた料理だったから、ということはもちろん、子どもは本当においしいものを判断できる力を持っているのかもしれません。

地元の方とも意見交換

バーベキューには地元のご家族も参加。教育についての意見交換も行われました。秋田県で小学生のお子さんを育てるお母さんは、小学校の先生方の指導が行き届いているところが一番誇れるところだと話します。

小学校では「自分で考える力」を養う教育が行われていると日々感じるそうですが、宿題などの自宅学習では親のサポートが必要なことも。それでも先生の熱心な姿につられて、自宅でもしっかり学習させようという気持ちになるそうです。

地域の専門家が学校に出向いて指導をしてくれることも多いので、塾や習い事が必要ないというのは、首都圏では考えられないこと。「羨ましい!」との声もあがりました。

実際にそこで暮らす家族やそこで学ぶ子どもたちとの意見交換は、短い体験授業や校内のツアーだけでは得られない貴重な時間となったようです。

小さな子どもたちもいるため、21時頃にお開き。秋田の家族と連絡先を交換する姿も見られました。

キャンプも残すところあと1日です。

どこで、どんなふうに、誰と生きるか。子どもの教育にも多様な選択肢が

「ナナメ上いく教育オヤジキャンプ」の県南コース3日目の朝。心配していた台風もぐっすりと眠っているあいだに秋田を通り過ぎたようです。

この日はキャンプの振り返りとして、大人たちが「秋田と私のこれから」というテーマでコラージュに取り組みました。出力した3日間の写真を切り貼りして、言葉にできないこの3日間の思い出を表現していきます。

出来上がったコラージュを見ながら感想を語り合います。

「東成瀬小学校は、探究型授業はもちろん、地域と関わりながら行う年中行事があるというところも素敵。これからどうやって秋田と東京を繋いでいけるか考えたい」「今回3日間でいろいろと体験したり交流ができたが、これで終わりにせず交流を続けられるようにしたい」「出会った方々がとても温かくて、地域全体で子どもを大切にしているのが印象的だった」など、多くの方が秋田の教育環境に心を動かされた様子でした。

子どもたちも「りんご畑が楽しかった!」「東成瀬小学校の子たちと遊べたのが楽しかった」と感想を話しました。1日目は、恥ずかしがって話せない子もいたので、3日間で大きく成長できたようです!

今回のキャンプでは、秋田の教育をさまざまな角度から体験することができました。学校教育の素晴らしさはもちろん、地域全体で子どもを大切に育てていること、安心安全でおいしい「食」が豊富なことなど、子どもが育つ場として素晴らしい環境が秋田には揃っていました。

それでも、そんな素晴らしい環境がある秋田に今すぐに移住を!と行動に移せる人はごく僅かです。移住が難しかったとしても、いろいろな形で関わりを持てる可能性が見えたのがこの3日間でもありました。

秋田では小・中学生を対象に、子どもたちが秋田で学校生活を体験する教育留学の受け入れをしています。今回のキャンプに参加された親御さんのなかにも「子どもがもう少し大きくなったら『短期チャレンジ留学』を体験させたい」と話す方もいました。

関東でも、秋田でも、他のどこであっても、どう生きていくか、誰と繋がって生きていくかが一番大切なこと。多様な選択肢がある現代には、子どもたちの教育に関しても、私たちが思う以上に多くの選択肢があるということを知っていただけたら嬉しいです。

・ナナメ上いく教育オヤジキャンプ 県南コースの記事を読む

次回開催情報:

「秋田の教育ミートアップ!Vol.2」

9月16日〜18日に開催した、「ナナメ上いく教育オヤジキャンプ」には9家族27名の方が参加し、秋田の教育・子育て環境をさまざまな角度から体験しました。

今回のイベントでは、キャンプ参加者をゲストに招き、秋田という場所だからこそ実現できる教育・子育ての可能性を考えます。ゲストを交えた対話の時間はもちろん、交流会もご用意しておりますので、ぜひご参加ください!

【日時】2017年12月10日(日)13:00〜15:30 (受付開始12:30〜)

【場所】 TIP*S 独立行政法人中小企業基盤整備機構 (東京都千代田区丸の内2丁目5−1 丸の内二丁目ビル6階)

【ゲスト】
県北キャンプ 参加者 鈴木祐之さん
県南キャンプ 参加者 八塚裕太郎さん
ほか「ナナメ上いく教育オヤジキャンプ」参加者の皆さん

詳細はこちらから!

(写真/板橋充)

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