地方創生における、シェアリングエコノミーが担うべき役割とは? #sharesummit2017

シェアリングエコノミーの祭典の中で「LIFE SHIFT, WORK SHIFT/人生100年時代の生き方働き方〜今こそ地方創生!戦略策定から実践へ〜」をテーマに語られた内容についてレポートする。

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11月の8日、9日の2日間にかけ、一般社団法人シェアリングエコノミー協会が主催する、シェアリングエコノミーの祭典「SHARE SUMMIT 2017」が開催された。

2年目となる今年は、『SHARE or DIE.– まちの消滅が叫ばれる時代の、生き残りを賭けた“シェア”という都市戦略 –』をテーマに設定。シェアリングシティを目指す渋谷を舞台に、都市づくりの最新事例やシェアサービスが変える消費者のライフスタイルなどの事例が共有された。

イベント2日目の第4セッションは、「LIFE SHIFT, WORK SHIFT/人生100年時代の生き方働き方〜今こそ地方創生!戦略策定から実践へ〜」。内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官・唐澤剛氏が登壇し、地方創生から考えるシェアについて語られた。

人口減少だけではない、地域が抱える東京一極化の課題

地方創生が必要とされる背景には日本の急激な人口減少が存在する。はじめに唐澤氏からは、日本における人口推移の現状が語られた。

「日本の人口は急激に減少していきます。減少すること自体は仕方がないのですが、問題はそのスピードにある。現状試算される数字では約100年の間に半分以下になってしまうと言われています。これでは既存のあらゆる社会システムが全く機能しなくなってしまう。われわれはこの問題をカバーしようとしています」

そのために2015年からスタートした地方創生では、「若者の雇用創出」「第1子出産後の女性の継続就業率の向上」、そして「東京圏への流入人口の減少」を目指しているという。

「2016年、東京圏の人口流入は12万人の転入超過です。そのほとんどは10−20代の学生。東京で日本全国や世界を舞台に仕事をしたいと言う人から、東京に出た方が就職などに有利なのではと考え、東京の学校に行く人など。その理由はさまざまです」

興味深いのは、転入者の転入元は、地方都市が多いという点だ。転入元地域の一覧を見てみると、一番転入者が多いのは大阪市。続いて名古屋、仙台、札幌、福岡と日本の主要政令指定都市から東京へ人を送り出しているという。

「各政令指定都市から人が送られてきているのですが、仙台や札幌などは人口が減っているわけではない。つまり、都道府県や地方内から地方都市へ人が集まり、そこからさらに東京へと人を送り込んでいる。地方から地方都市、地方都市から東京圏へと都市に向かってどんどん人が集中してしまっているのです」

農地からシャッター街まで。地域を盛り上げるケーススタディ

このように都市部へ人口を送り込むことで人口減少が加速する地方。地方創生では、「地域経済の活性化」「地域生活の確保」「地域文化の振興」によってそれぞれの地域の魅力を最大化し人を再び地域へ呼び戻す働きがけをしているという。

「みなさん自分の地域はつまらないと思っていますが、日本につまらない地域なんて1つもありません」と唐澤氏が語るように、地方創生の中で、それぞれのもつ魅力を最大化したり、首長の方針によって息を吹き返したり事例はいくつも存在する。

唐澤氏から紹介されたものの中から、2つ紹介しよう。

1つ目は、新潟県新潟市にある農家レストランだ。農地は本来農地としてしか利用できない。それを国家戦略特区(農業特区)の規制緩和を利用し、用地転用。畑の真ん中でレストランを営業し、賑わいを見せているという。

「農家レストランは、農地のど真ん中で農産物の加工や三次産業のレストランを設け、その場で取れた良い野菜やお米などをすぐに食べられるということで人気を集めています。農業のような一次産業は広がりのある産業で、三次産業まで繋げることができ、収益性も高められる。一次産業が元気でいい特産品があれば、街全体を元気にすることができるのです」

2つ目は、宮崎県日南市にある油津商店街だ。市長の﨑田恭平氏が旗を振り、2013年からシャッター街になっていた商店街を再生しようと活動している。

「嶋田市長は、250mのシャッター街だった油津商店街を再生するためにマネージャーを全国から公募。わずか4年間でカフェやゲストハウス、IT企業など29店舗が入居するようになりました」

外部からの公募の際には、月額90万の委託料など破格の待遇が注目を集めたが、実際4年で20店舗という目標を上回る結果を残しており、いまでは地方創生の成功事例として全国的にも知られている。

地方創生でシェアリングエコノミーが担える可能性

地方創生の現状を中心に話を進めていった唐澤氏だが、シェアリングエコノミーについては2つの視点で話を展開してくれた。1つは地方創生を後押しするシェアリングエコノミーについてだ。

「今後シェアリングエコノミーは地方創生における1つのプラクティスとして期待している産業です。ただ海外で先行事例が増えてきている中、日本に最適化されたものをつくっていく必要がある。そのために今後日本でもよりよい手段を模索する必要があると考えています」

もう1つは、東京という都市におけるシェアリングエコノミーが担えるだろう役割についてだった。

「東京という大都市では、地方と同じような仕組みは通用しません。たとえば地縁に基づいたビジネスやサービスは成立しづらいでしょう。そこでシェアリングエコノミーが地縁の代わりとして役割を果たすことが期待できるのではないでしょうか」

地方創生の事例から見えてくるシェアリングエコノミーが担える役割は地方の活性だけではない。地方・都市ともそれぞれに異なる課題を抱えている。それぞれに最適なソリューションがシェアを通して実現していくことが今後期待される。

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小山 和之
小山 和之

編集者・ライター。1989年生まれ。建築の意匠設計を経て、Webコンサル会社にて企業のWeb戦略ディレクション、オウンドメディアの企画・立ち上げ・編集等に従事。傍ら個人でもフリーの編集者・ライターとして活動した後、現在に至る。

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