シェアは次の時代へ。富と権力をオーナーからユーザーへと分散させるプラットフォームの登場 #sharesummit2017

企業やプラットフォームのあり方はさらに変容しつつある。

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2017年11月8日から9日にかけて「シェアサミット2017」が開催。セッション「SHARE or DIE まちの消滅が叫ばれる時代の、生き残りを賭けた“シェア”という都市戦略」では、Shareable 共同創業者 ニール·ゴレンフロ氏が登壇した。

同氏がセッションにて触れた「ゼブラ企業」や「プラットフォーム・コーポラティブ」というコンセプトからは、シェアリングエコノミー時代の新しい企業のあり方が見えてきた。

ニール氏は、世界では”sharer” (シェアラー)のニックネームとしても知られる、シェアリングエコノミーの伝道師だ。同氏はシェアリングエコノミーに関する米国の非営利メディア「Shareable」を立ち上げ、現在はエグゼクティブ・ディレクターを務めている。

そんなニール氏は講演の中で、いまの社会や都市が抱える課題と、それに対してシェアリングエコノミーはどのようにアプローチできるかについて語った。同氏が語った内容の中でも特に興味深かったのが「ゼブラ企業」と「プラットフォーム・コーポレーティブ」という企業の形態だ。

ユニコーンと対をなす「ゼブラ」企業とは何か

1000億円以上の企業価値を持つ非上場企業を「ユニコーン」と呼ぶが、それの対になるコンセプトが「ゼブラ」だ。

「社会にインパクトを与える方法はいくつかあると考えています。ひとつは、成長やスケールを志向するというシリコンバレーのイデオロギーに基づき、社会にインパクトを与える方法です。起業家は会社をスケールさせ、ユニコーン企業になることを目指します。その対となるのが、ゼブラ企業です。スケールを目指すのではなく、まるで刀作りの職人が行うような美しいビジネスを行うのがゼブラなんです」

「The Zebra Movement」を推進しているJennifer, Mara, Astrid & Aniyiはゼブラ企業を次のように定義している

  • ゼブラ企業は、利益を上げ、社会を良くする。彼らは片方のためにどちらかを犠牲にすることはしない
  • ゼブラ企業は共生的だ。集団で結束し、お互いを守る。彼らの個別のインプットは、強力で、集合的なアウトプットをもたらす
  • ゼブラ企業は、彼らが生き残れる状況であれば、飛び抜けたスタミナと資本効率を持つ企業だ

同ブログによれば、急速に成長を続けてきた企業が抱える課題――Facebookのフェイクニュース問題やUberのセクハラ問題などがユニコーン企業の限界を示しており、新しいコンセプトを提示する必要があるという。

登場したばかりの概念で、ゼブラのコンセプトを実現している企業はまだ少ない。ニール氏によれば、日本では『小さなチーム、大きな仕事――働き方の新スタンダード』で知られている 37signalsはゼブラに該当する企業とのことだった。

サービスの参加者全員で所有し、運営する「プラットフォーム・コーポレーティブ」

ニール氏が紹介したもう1つのコンセプト「プラットフォーム・コーポレーティブ」もユニークだった。

ニール氏が運営する『Sherable』では、同コンセプトは次のように紹介されている

「プラットフォーム・コーポレーティブは、デジタルプラットフォームのことだ。サービスの提供や製品の販売のためにデザインされたウェブサイトやモバイルアプリが、そこに参加する人々によって集団的に所有され、運営される。参加する人々には労働、時間、スキル、資産を提供し、サービスの基盤となる人たちが含まれる。

企業のシェアリングプラットフォームは価値を生み出し、投資に対するリターンを期待している株主にその利益を分配している。プラットフォーム・コーポレーティブは、事業のオーナーシップとマネジメントを、そのプラットフォームのために働く人々やサービスを使う人々に託す。(筆者訳)」

ニール氏がプラットフォーム・コーポレーティブの例として挙げたのが、ストックフォトサービス「Stocksy」だ。同サービスは2012年にカナダのブリティッシュ・コロンビア州でスタートした。「平等、リスペクト、公平な利益の分配」を掲げ、アーティストがサービスを保有するというコーポレーティブな特徴を持つ。

サービスに登録している写真家のメンバーは、販売された写真の売上の50%を受け取ることができる。また、Stocksyの決算時に余剰があった場合、その配当を受け取ることができる。

「Stocksyに写真を投稿するメンバーは、投資家、マネージャー、働き手の全ての側面を持つんです。プラットフォーム・コーポレーティブは、単なるP2P型のものではなく、協力的で参加型のオーナーシップが内包されています。富と権力がプラットフォームのオーナーに集中するのではなく、分散させるシステムです」

「Stocksy」以外にもプラットフォーム・コーポレーティブを志向するサービスは存在する。詳しくはサイト『Platform Cooperativism』を確認してほしい。

会社のあり方が多様化する時代を生きる私たちに、ニール氏は次のようなメッセージを残して講演を終えた。

「起業してユニコーン企業を目指す以外にも様々な選択肢があります。ゼブラ企業を目指すのも、プラットフォーム・コーポレーティブを志向することも選択できる時代です。どのような方法ならば自身が望むインパクトを社会に与えられるのか。その目的や目標によって、起業のスタイルを選ぶ時代なんです」

img : Stocksy

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岡田 弘太郎

フリーランスの編集者・ライター。 1994年生まれ、慶應義塾大学でデザイン思考/サービスデザインを専攻。「greenz.jp」のライターインターンや、複数のウェブメディアで編集を経験し、現在は編集デザインファーム『inquire』に所属。博報堂DYグループ「SEEDATA」インハウスエディター。「SENSORS」「greenz.jp」「Biz/Zine」などの媒体で執筆。関心領域はデザイン、テクノロジー、イノベーション、音楽を中心としたカルチャーなど。

『UNLEASH(アンリーシュ)』は、ビジネス、カルチャー、デザイン、テクノロジーの話題を発信するオンラインメディアです。

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