スマホから離れ、世界と繋がろう。有名都市を“スマホなし”で旅する「Off The Grid」

アメリカはワシントンD.C.にオフィスを構える旅行会社Off The Grid(オフ ザ グリッド)が、スマホを持たずに世界の都市を観光する、オフライン・トリップを提供している。

いつからだろうか。私たちの旅は、“スマホありき”なものへと変わってしまった。

その土地に根付く、歴史的な建造物を前に人々はスマホを構え、あらゆる角度から惜しみなくシャッターを押していく。撮影が終わったあとはアプリを使い、慣れた手つきで写真を加工。何かに急かされるように、SNSで写真を投稿し、次の目的地へと歩を進める。

彼らの心をつかむのは、目の前にある美しい景色ではなく、他人からの“いいね”。インターネットのおかげで身近に感じていた世界が、インターネットのせいで遠ざかっていくような。そんな現象が起きている。

アメリカのワシントンD.C.に拠点を置く旅行会社Off The Gridは、現代社会における旅行のありかたを見直すべく、ユニークな旅行プランを提案している。

そのプランとは、参加者が自分の携帯をスタッフに預けた状態で、世界の都市を1〜2週間で回るというもの。合言葉は、“Disconnect from your phone and reconnect with the world”(携帯電話から離れて、世界と繋がろう)だ。

ツアーの参加者を募集している都市には、ポルトガル・リスボンやチェコ共和国・プラハ、クロアチア・スプリットなど、観光地として高い人気を誇るところばかり。2018年中に行われるツアーは、ひと月に1ツアーと数こそ多くはないものの、一つひとつのツアー内容は充実した構成となっている。

たとえば、チェコ共和国・プラハのプラン。同プランには、1日目にツアー仲間とのウェルカムパーティーがあり、2日目以降は自電車に乗りながら市街地を散策したり、現地の史跡内でヨガを楽しむなど、ユニークなアクティビティがたくさん組み込まれている。

ツアー中は、コーディネーターが同行するのはもちろん、24時間のコールスタッフサービスや空港までの送迎など、参加者へのケアも手厚い。また、携帯電話でのインターネット使用は禁止になっているが、現地では通話機能の付いた携帯電話を支給されるという。万が一に備え、安全面はしっかり考慮されているようだ。

驚くことに、どのツアーも参加できる人数は30名までになっている。なかには定員が20名に満たないものもある。そのぶん、ツアー仲間との関係が密になることは間違いないだろう。

Off The Gridのツアーに参加するには、公式サイトを通じて応募用紙を送る必要がある。質問事項には、名前や住所などの基本的な情報に加え、自己紹介や応募に至った動機などを記入するものも。来るもの拒まずではなく、参加者の熱意や思いにしっかりと耳を傾けるOff The Gridの姿勢が感じられる。

スマホやPCが進化する一方で、インターネットのしがらみから頭と心を解放させようと“デジタル・デトックス”なるものが注目されるようになった。普段の生活ですら、デジタル・デトックスを取り入れる心的ハードルは高い。ましてや、不慣れな土地や文化に囲まれた旅行先でインターネットを手放すのは心もとないだろう。

ただ、インターネットから解放されることで見えてくるものは大きい。現地で感じる風の心地よさ、聞き慣れない言語の面白さ、旅先で出会う人たちとの会話。本当に大切なことは、インターネットの中には存在しない。

今こそ、オフラインで世界と繋がるときなのかもしれない。

中川 明日香
中川 明日香

ライター。1994年生まれ。静岡大学で英米文学を専攻。学生時代に国際交流事業に携わるなかで、スロバキアに興味を持ち、長期留学を決意。現地の大学に通いながら、日本語講師のアルバイトで貯めたお金でヨーロッパ20カ国を周遊。その体験記を旅行メディア「Reisen」で執筆し始めたことをきっかけにWEBメディアの魅力を実感。帰国後「IDENTITY名古屋」でライターインターンを始め、現在に至る。

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