タイトルも、著者名も隠された”未知の新刊”。蔦屋書店コンシェルジュが演出する、本との運命的な出会い

代官山 蔦屋書店が、新しい読書体験の提供を始める。同店のコンシェルジュが、発売前の原稿から良書を厳選し、本のタイトル・著者・出版社などを明かさずに読者に届ける。未知に溢れた本、『UNKNOWN BOOKS』という企画だ。

“運命の出会いに、先入観は必要ない”。

人との出会いも、本との出会いだってそうだ。

話題性、発行部数、タイトル、表紙、著者名。読みたい本を探すとき、私たちは知らずのうちに多くの情報を当てにしてしまう。

「30万部売れてるから」「直木賞作家が書いてるから」「有名実業家がレビューしてるから」

溢れた情報のなかから良書を見つけ出すのも悪くない。だが、どうせなら余分な先入観を抜きにして、心揺さぶる一冊と運命的な出会いを果たしてみたいとも思う。

読書好きによる、ささやかな願い。仲人役として名乗りを上げたのは、代官山 蔦屋書店のコンシェルジュだった。


書店の本棚にずらりと並ぶ書籍たち。1日に出版される本の冊数は、200冊にも及ぶという。そのなかには、発売前の原稿(ゲラ)が出版社の営業によって書店に持ち込まれたものもある。

「面白い本なので、ぜひ読んでみてください」

営業のこの一言だけを頼りに、書店員は持ち込まれた原稿を読む。いわば、その本に関する先入観が0に近い状態での読書。面白いポイントや読み方などは、すべて自分で探し出すことになるため、必然的に原稿の文章と真剣に向き合うことになる。

蔦屋書店のコンシェルジュは、この体験の面白さに目をつけ、『UNKNOWN BOOKS』という企画を思いついたそうだ。

これは、書店に持ち込まれた発売前の原稿のなかから、コンシェルジュが面白いと感じた一冊をタイトル・著者・出版社名を伏せて販売するというもの。公式サイトを見れば分かるように、出品された本に関する情報は「こんな考えを持っている人にはオススメ」など、ほんの数行でしか明記されていない。

『UNKNOW BOOKS』で本が選定される基準は、以下の3つ。

  1. 出品されるのは、新刊のみ
  2. タイトル・出版社・著者名は明かさず、あえて書評も書かない
  3. 代官山 蔦屋書店のコンシェルジュが、絶対の自信を持って推薦する

話題性やトレンドを鑑みず、半ば直感的に読みたい本を選ぶことで、本来であれば出会うはずのなかった“運命の一冊”と出会うことができるのではないだろうか。

本のタイトルは、サイトでの出品後4週間をめどに公開される。『UNKNOWN BOOKS』を通じて書籍を購入すると、「イベント招待」や「著者のとっておきの本の紹介」などの特典を“秘密”でつけてくれるそう。本が手元に届くまでに、ドキドキする要素が多い。

現時点で、購入を受け付けている書籍は2冊。今後、未知なる本がどんどん増えていくことが期待される。

「あなたのことよく知らないけど、何だか惹かれる」

一冊の本を前に、そんな感情を抱くのも悪くない。

中川 明日香
中川 明日香

ライター。1994年生まれ。静岡大学で英米文学を専攻。学生時代に国際交流事業に携わるなかで、スロバキアに興味を持ち、長期留学を決意。現地の大学に通いながら、日本語講師のアルバイトで貯めたお金でヨーロッパ20カ国を周遊。その体験記を旅行メディア「Reisen」で執筆し始めたことをきっかけにWEBメディアの魅力を実感。帰国後「IDENTITY名古屋」でライターインターンを始め、現在に至る。

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