ブランドが国産杉をアップデートする『FIL』

Fabスペース・家具・フレグランスを展開する、熊本県・南小国町発のブランド『FIL』。同ブランドはブランドアイデンティティを綿密に設計し、社会と適切なコミュニケーションを取ることで、多様な分野への展開を狙っている。

デザインビジネスマガジン『designing』より転載)

Fabスペース・家具・フレグランスを展開するブランド『FIL』。黒川温泉で知られる、熊本県・南小国町発のブランドだ。

同町にはブランド杉「小国杉」があるが、林業は建築資材としては衰退産業。先を考えリブランディングが求められていたという。その結果生まれたのがこのFIL。ブランディングは『BEES&HONEY』が担当した。

細やかなアイデンティティ設計

詳細はPROJECT紹介記事に目を通していただきたいが、同社はデスクリサーチからフィールドワーク、ワークショップ等を重ねブランドの核を抽出。

FILのという名前の基礎となるブランドメッセージ『Fulfilling Life』と、『「人々にとって、本当の豊かさとはなんだろうか」を現代に問うブランド』というイデオロギーを策定した。その後細やかなアイディンティの作成に落とし込んでいる。以下サイトより引用。

ブランド・イデオロギーを策定した後にようやくブランドの要素となる、理念やビジョンなどの「MI(マインド・アイデンティティ)設計」やロゴやシンボルのデザイン、キービジュアルの・撮影・ブランドサイトの設計・デザインなどの「VI(ビジュアル・アイデンティティ)」メインコピーやタグラインなどの「VI(バーバル・アイデンティティ)」などの制作工程に進みます。

単純なVI(ビジュアル・アイデンティティ)やメッセージだけでなく、「「MI(マインド・アイデンティティ)設計」「VI(バーバル・アイデンティティ)」まで落とし込んでいるのは特徴的だろう。

スペース(建築)から、家具、プロダクトと多様に展開するブランドだからこそその核となる要素はしっかりと作り込む必要がある。ただその核は”作った人”だけが分かればいいわけではなく、関わるすべての人が理解できなければいけない。そのためにはさまざまな手段でその”核”を定義することが重要になるはずだ。

精鋭揃いの強いチーム

FILのプロジェクトの興味深さは各プロダクトを担当したチームの精鋭っぷりにもある。詳しくは各社のサイト等を見ていただきたいが、BEES&HONEYはもちろん、木下氏率いるCANUCH、野間氏が率いるGarden Eightなどそうそうたるメンバーだ。

野間氏は『KUROKAWA WONDERLAND』に携わっていた経緯もある。

優れた枠組み、優秀なクリエイターによって制作されるFIL。現状はまだブランドが立ち上がった段階でこれから徐々に拡充が進んでいくという。国産杉というまだまだ課題の大きい分野へ挑む分、展開の仕方もさまざま期待できる。消費者としても、今後が楽しみだ。

BRANDING AGENCY:BEES&HONEY
DIGITAL PRODUCTION:GARDEN EIGHT
FURNITURE & INTERIOR:CANUCH
DESIGN BOUTIQUE:SCNR
FRAGRANCE:MIYA SHINMA
ARCHITECTURE:YOUBI

via FILBEES&HONEY

デザインビジネスマガジン『designing』より転載)

小山 和之
小山 和之

編集者・ライター。1989年生まれ。建築の意匠設計を経て、Webコンサル会社にて企業のWeb戦略ディレクション、オウンドメディアの企画・立ち上げ・編集等に従事。傍ら個人でもフリーの編集者・ライターとして活動した後、現在に至る。