デザインをやっているようでやっていなかった——『CDO/CXOがいる会社で働く若手トーク』 #cxonight

2018年2月9日、『CXO Night#2』が開催された。同イベントはじめのセッションのテーマは、『CDO/CXOがいる会社で働く若手トーク』。FOLIO貴島衛氏、THE GUILDこばかな氏、Basecamp北川怜於氏と各社の若手デザイナーが登壇、モデレータにFOLIO CDO広野萌氏を迎え行われた。

デザインビジネスマガジン『designing』より転載)

2018年2月9日、渋谷にあるTECH PLAYオフィスにて、『スタートアップにCXOが必要な理由 – CXO Night#2 by TECH PLAYデザイナー部』が開催された。

CXO Night(旧・CDO Night)は、昨年10月の開催に続き、今回で2回目。「スタートアップで奮闘するデザイナーを集めて、マネジメントの課題や実用的なノウハウを共有するコミュニティ」を目指したイベントだ。

今回は第一線で活躍している若手、シニアがパネルディスカッション形式で登壇。スタートアップにおけるデザイン役員の重要性、マネジメント、事業作りにおけるデザイナーが果たすべき役割について語っていく。

イベントは全3セッション。はじめのセッションのテーマは、『CDO/CXOがいる会社で働く若手トーク』。

FOLIO貴島衛氏、THE GUILDこばかな氏、Basecamp北川怜於氏と各社の若手デザイナーが登壇、モデレータにFOLIO CDO広野萌氏を迎え行われた。本記事ではセッション内容からいくつかのパネルをピックアップし紹介していく。

登壇者

貴島 衛@sadako_a_)/ 株式会社FOLIO デザイナー
1994年生まれ、台湾と日本のハーフ。新卒で入社したDeNAを経て、現在は株式会社FOLIOでオンライン証券のデザインに携わる。代表作として映画の視聴予定を記録するサービス「MOVCHEX」などを制作。

こばかな@kobaka7)/ THE GUILD デザイナー
デザイナー。新卒でDeNAを経て、2017年よりTHE GUILDに入社。TwitterでUX/UI等の学びを図説する#kobaka7_sketch を投稿してます。

北川 怜於@Elu_Leo)/ Basecamp デザイナー
Bacecampインターン。学生スタートアップでインターンを経験後、坪田氏に弟子入り。SFC2年生。ヲタ芸パフォーマー。

広野 萌@hajipion)/ 株式会社FOLIO CDO
早稲田大学文化構想学部卒。ヤフー株式会社にて、主に新規事業・全社戦略の企画やアプリのUX推進に携わる。2015年、株式会社FOLIOを共同創業しCDOに就任。国内株式を取り扱う10年ぶりのオンライン証券を立ち上げる。代表作に「inShade」「INTEMPO」など。

学びたい人がいる。だから今の会社を選んだ

最初のパネルは、それぞれの会社を選んだ理由。学生と社会人、それぞれ状況は異なるものの、三者に共通していたのは、「学びたい人がいる」という点だった。

北川 怜於さん(以下・レオ):僕は単純に坪田さんから教わりたかったです。坪田さんのところで働く前は学生スタートアップで働いていたのですが、そこで働く中で「デザイナーになりたい」と思うようになりました。そこから、前回のCDO Nightで坪田さんに出会い、悩んだ末に「坪田さんのところに行こう」と思い、TwitterにDMを送り、Onedotのオフィスに伺い話をしました。ちょうど3ヶ月くらい前です。

こばかなさん(以下敬称略):私は新卒でDeNAに入り、1年ほど働いて「デザイン会社に入ってみたい」と思ったのがきっかけです。というのも、事業会社でサービスに配属されると、日々の業務に追われ、真剣にデザインについて考えられる時間が取れない。デザインについてもっと考えたいと思っての転職でした。THE GUILDを選んだのは、もともと学生の頃にアルバイトをしていた経験がきっかけです。

深津さんのアシスタント募集をTwitterで見かけてメッセし「出戻りいいですか?」ときいたら「OKー」と。もちろん、深津さんのところで働きたいというのもあり、先ほどのレオくんの話にもあったような弟子という観点もありました。

貴島 衛さん(以下・さだこえ):僕もこばかなと一緒で、DeNAで1年間メディアやゲームなどさまざまな事業を経験していました。ただ、働きながら「このサービスがなくなっても悲しくないな」と感じていたことがきっかけでした。その頃に、学生時代Yahoo!でアルバイトしていたときに知り合った萌さん(FOLIO CDO 広野)から連絡をもらい、「この人となら一緒に働きたい」と転職しました。

僕は、“人の価値観を変えるサービスを作りたい”なと思っています。昨年はFinTech系のサービスが爆発的に注目を集めた年だと思っていて、FOLIOもその一つです。日本人はあまり投資をしないという課題がある中で、FOLIOであれば、サービスを通して投資人口を増やしたり、投資の価値観を変えることができるのではないかと考えています。

CXO/CDOが企業で担う、3つの役割

続くパネルで聞かれたのは「企業にCXO/CDOが居ることによる効果」。本内容は最初にこばかなさんがCXOの役割を整理してくれた。

こばかな:正確に言うと深津さんはpiece of cakeのCXOなので、そこを見る中での話をすると、CXOが存在することでの違いは、売り上げよりも体験をベースに施策や方向性を決められる点だと思います。「ユーザーがこういう体験をできるといいね」というユーザー体験を突き詰める方向にプロダクトに向かわせられる。

CXOの役割は大きい3つあると思っています。1つ目は社内にUXやデザインの思考を広めること。そのためには経営者と近いことが必須となるので、CXOという肩書きは大切になります。

2つ目は生産性の向上。社内に数十名のデザイナーがいる場合、彼らが同最大限活躍していく方法の検討やナレッジやアセットの管理共有の方法、リソース配分など。社内の仕組み作りもCXOの役割だと思います。

3つ目は教育。デザインレビューももちろん、深津さんの場合、改善ブログを通し、ユーザーだけでなく、デザインチーム側にもデザインの考え方を伝える役割も担っています。

さだこえ:FOLIOではCDOの萌さんに加え、デザイン戦略室という部署があり、そこの室長がいます。CDOは経営層とかでデザイン思考を持って経営を動かし、室長は教育や、デザイン室メンバーのリソース配分や、採用を見ています。なので、CDOは外向きデザインを伝え、室長は内向きという役割分担になっていますね。

レオ:Onedot(※坪田さんがCCOとして携わるスタートアップ)の場合少し特殊で、CEOが中国に居るので実質日本のチームを動かすのは坪田さんが担うという感じになっています。ただもちろんCCOとしての役割も担っていて、デザイン思考を活かし、現場でのユーザーインタビューを繰り返したりしています。

デザインをやっているようでやっていなかった経験

3つ目のパネルは「師匠から教わって勉強になったこと」。それぞれ学びたい人を起点に今居る場所を選んだからこそ、この問いからは多くの意見が飛び出した。

こばかな:これはありすぎますね。笑 前提としてTHE GUILDでの仕事を共有すると、THE GUILDの深津チームは10−20社のクライアントを抱え、打ち合わせをする業務が中心です。週に数時間の定例ミーティングがあり、そこで出てくる相談や懸案に深津さんが答えるという感じで仕事をしています。

その中で私は、この1年間深津さんについて行くというミッションが与えられ、議事録をとったり、たまにリアルタイムでUIを作ったりし、間近でその姿を見てきました。去年一年間は、家族よりも深津さんと一緒にいた時間の方が長いと思います。

前職はサービスに配属されデザイナーとしてUIを作っていたのに対し、THE GUILDは大体の案件で上流工程から入り戦略作りからサポートすることがほとんどです。というのも大体の場合入り口はUIの相談なのですが、話を聞くとそもそもの要件定義が怪しい、戦略が怪しい、組織が怪しいとなることが多い。必然的に上流工程に関わることとなる。

その姿を見るなかで、自然と視野が広がりましたし、視座も高まったと思います。前職は“なぜこのデザインをするか”が分からないままデザインをすることが多く、デザインをやっているようでやっていない気がしていました。そこからUI/UXをより広く学べる場を求め転職したのですが、1年くらい深津さんのMTGに同席することでその輪郭は学べているかなと思います。

レオ:僕は最初坪田さんのところで働くとき、「最強のデザインの作り方」のようなものが学べるのかなと漠然と思っていました。しかし、そうではなくコミュニケーションやプロジェクトの進め方といった部分で学ぶことが非常に多いなと思っています。

坪田さんの物腰の柔らかさだったり、コミュニケーションのうまさは見ているだけでも多分に参考になりますし、僕が直接コミュニケーションを取る場合にも、リアルタイムでフィードバックをもらえる。もちろんUIも教えてもらうのですが、コミュニケーションの学びは特に多いなと。

さだこえ:最近の話で言うと、デザイン以外を知ることの大切さです。最近萌さんがOsushiの解説記事を出してバズったんですが、あれを見て改めてデザインだけを作れば良いのではなく、法律などサービス以外のことをきちんと知らないといけないと思いました。

僕は前職の頃「ビジュアル正義だ、かっこよく作りたい」という思いが強く、その前提でFOLIOにも入社したのですが、改めてそうではないなと。FOLIOは人の資産を扱うものですから、その責任を理解した上でデザインしなければいけません。その前提があるなかでも萌さんは法律関係も含め特に精通しているので、その点は特に学びが多いです。

それぞれのフィールドでデザインの力を活かす未来図

最後のパネルでは、「今後デザイナーとして目指しているキャリア」について聞き、会が閉められた。これは3者3様の回答があり、それぞれが見据えているデザインの活かし方が垣間見える回答となった。

レオ:僕は卒業まであと2年半あるんですが、卒業まではデザインを学び続けたいと思っています。一方で、僕自身、学生スタートアップが好きという気持ちが結構強く、そこにデザイナーとして関われることはしたいなと。学生スタートアップにはデザイナーがいないことが多いんです。

ただ、これからを担っていく世代にデザインの力が不足しているのは課題だと思うので、そこで価値を提供できるよう、僕自身デザインの力を身につけていきたいなと。卒業後でいうと海外に出て、さまざまな世界を見てみたいですね。

こばかな:私は2つあると思っています。1つは深津さんのようにさまざまなクライアントをサポートするコンサル的に働く道。もう1つは、やりたいことがあれば事業会社に戻る道もありだと思っています。そのときに果たしてデザイナーという肩書きで働いているかは分からないですが、貢献したいと思えるものに対しデザインの力で価値を発揮していきたいですね。

さだこえ:これは僕個人というよりはデザイナー全体としてですが、デザイナーがさまざまなところで活躍する未来ができると良いなと思っています。僕は1つの企業にとらわれ過ぎるのは良くないなと思っていて、デザイナーはさまざまな企業で働ける方が良い。

それこそ3社掛け持ちみたいな状態が実現できるほうが良いなと思っています。僕自身いまはFOLIOがメインですが、土日には他のスタートアップも手伝っています。デザイナーが流動的にさまざまなところをサポートできる状況が生まれると良いなと思いますね。

デザインビジネスマガジン『designing』より転載)

小山 和之
小山 和之

編集者・ライター。1989年生まれ。建築の意匠設計を経て、Webコンサル会社にて企業のWeb戦略ディレクション、オウンドメディアの企画・立ち上げ・編集等に従事。傍ら個人でもフリーの編集者・ライターとして活動した後、現在に至る。