もう騙されない?フェイクニュースへの耐性を身につけられるゲーム「Bad News」

フェイクニュースの書き手を体験し戦略を学ぶことで、フェイクニュースに対する抵抗力をつけることを狙いとした「バッド・ニュース(Bad News)」が、ケンブリッジ大学の研究者によって開発された。

まるで生まれたときからしみついている習慣のように、Twitterのタイムラインをスワイプしている最中にも、ハッと手を止めて見てしまう写真や動画に出会ったことがあるのは私だけではないだろう。

それを示すかのように、それらの写真や動画は何十万件のリツイートやいいねが押されている。かわいい赤ちゃんや動物の写真、話題の俳優さんのオフショット。それ以外にもたくさんの写真や動画がある。

しかしそれらの写真がのちに「フェイク」だった、そうニュースで流れたときなんとも情けない気持ちになった。

様々な情報が舞い込んでくるこの時代に必要不可欠な、正しい情報と誤った情報を識別する能力。その能力はいったいどのように身につければいいのか。ヒントを与えてくれるのが、ケンブリッジ大学の研究者によって開発されたゲーム「バッド・ニュース(Bad News)」だ。

いかに嘘で人を惹きつけるか

Bad Newsは、フェイクニュースへの耐性をつけることを目的とした、無料のオンラインゲームだ。

人がどういった情報に騙されやすいのか、どういった情報に惹きつけられるのか。裏を返せば、どういった情報を発信すれば人を騙し、惹きつけることができるのか。このゲームでフェイクニュースの発信者を擬似体験することによって、人を騙すための戦略を学ぶことができる。

なぜ戦略を学ぶことでフェイクニュースに対する耐性を身につけることができるのだろうか。このゲームは、接種理論という考え方に基づき、作成された。

接種理論とは、生物学的なワクチンが免疫をつくるために少量の病原体を投与することを指す。この考え方に基づき、Bad Newsで遊ぶことで、偽情報に対しての免疫がつき、次に説得力のある偽情報に出会ったときに簡単に見破ることができるようになるというものである。

ゲームの進み方

Bad Newsはどのように楽しむことができるのか。最初の画面が表示され、PLAY THE GAMEを押しゲームを始めると、「あなたは偽の情報やフェイクニュースを発信するためにここにいます」といった文言が表示される。

左に表示されているのがフォロワー数と信頼性だ。人が騙され、惹きつけられやすい嘘の情報を発信することでこの数字は上がっていく。

例えば、「この政府は完全に終わっている」、これをツイートする。

すると、嘘の情報に惹きつけられてフォロワーが増える。嘘の情報を発信することで人を騙し惹きつける一連の流れを擬似体験できるゲームだ。

考えられる問題点

本当にフェイクニュースへの耐性がつくのか、こう疑問に思う人も多いだろう。開発者らはオランダの高校生95人に対して、このゲームの初期バージョンであるペーパー版を使って実験を実施。その結果、ゲームを行っていない生徒に比べて行った生徒は、フェイクニュースがかなり信頼性が低いものだと判断した。

このゲームを日常生活の中でプレイさせることは難しいだろう。だが、学校教育の現場に取り入れることができれば、フェイクニュースの危険性を理解してもらいやすい。Bad Newsには、教育者向けにサービスの使い方を説明した「5 Educator sheet」が記されている。

これにはフェイクニュースとは何か、フェイクニュースはなぜ問題なのか、などの情報も書かれているので、このシートを使うことでフェイクニュースについての適切な教育を行うことができるだろう。

まず私たちが身につけるべきなのは、フェイクニュースへの警戒心であると思う。このゲームを行うことで、目にするニュースを鵜呑みにするのではなく、自身でそのニュースの確かさについて考えるようになるのではないだろうか。

このゲームが少しでも多くの人にプレイされ、動物園から逃げ出したというライオンの写真が拡散されないような世の中になることを切に願っている。

片桐 遥

1996年生まれ。横浜市立大学にて社会学を専攻。趣味はテレビ鑑賞と音楽鑑賞、読書など。尊敬する人はアメトークやロンドンハーツのプロデューサーの加地倫三さんと作家の西加奈子さん。