ファンデーション選びの失敗とは、おさらば。ロレアルが先導する美容業界のテック導入

大手化粧品会社のL’Oréal’(ロレアル)が、機械学習のアルゴリズムを利用したビジネスを展開。ユーザーの肌を特殊な機械によって分析し、個人に合ったファンデーションや美容液の開発を進めていると明かした。

「しまった」と、小さく呟いた。

買ったばかりのファンデーションが、自分の肌色には明るすぎると気づいたからだ。失敗しないようにと、ショップでは試供品を手の甲に伸ばし、しっかりと見極めたつもりでいたのに。使ってみると、思っていたよりも自分の肌に合わなかったということが多い。

なるべく自分に合ったものを見つけようと、口コミサイトのランキングや美容YouTuberの動画を参考にすることもある。ただ、ランキング上位のもの、インフルエンサーが勧めるものがそのまま自分の肌に合うという保証はない。化粧品選びの道は、思った以上にシビアだ。

そんな問題に救いの手を差し伸べたのは、パリの大手化粧品会社ロレアル。同社は、機械を使ってユーザーの肌質を分析し、一人ひとりの肌に合うようにとカスタマイズされた化粧品の開発を進めているそうだ。

一つ目は、同社が展開するブランドLancôme(ランコム)から。同ブランドでは、手持ち式の色彩分光計をユーザーの肌にあてがい、肌トーンやシェードを正確に把握。その後は、自身の肌タイプなど細やかな情報を問診されることで、自分に合ったファンデーションを目の前で調合してくれる。

驚くことに、そのファンデーションボトルには、自分の名前と自身の肌にまつわる情報を記載したIDラベルも貼ってくれるという。一度購入すれば、次回以降はスムーズに自分に適したファンデーションを購入することができる。作ることのできるファンデーションは、72,000種類にものぼるそうだ。

ロレアルのスキンケアブランドSkinceuticals(スキンシューティカルズ)では、タブレット上のアプリケーションを用い、ユーザーに掘り下げた質問を行うことで、顧客の肌質に合った美容液をカスタマイズしている。なお、同ブランドの美容液アルゴリズムは、250種類のスキンタイプに基づいており、8種類の成分で48通りの組み合わせを作っているそうだ。

これら2つの技術は、アメリカのオースティンで3月に開催された世界最大級のテック祭りSXSW(サウスバイサウスウエスト)で紹介され、美容業界のテクノロジー導入による明るい未来を示唆した。

以前、UNLEASHでも紹介したようにロレアルの元社員は、独立後にスキンケア商品のDIYキットや、個人の髪質に合ったカスタムシャンプーなどを販売している。ロレアルを起点に、今後美容業界にパーソナライズの波が広がることは間違いないだろう。

買ったばかりのファンデーションを前に「しまった」と呟くことも、もうない。

中川 明日香
中川 明日香

ライター。1994年生まれ。静岡大学で英米文学を専攻。学生時代に国際交流事業に携わるなかで、スロバキアに興味を持ち、長期留学を決意。現地の大学に通いながら、日本語講師のアルバイトで貯めたお金でヨーロッパ20カ国を周遊。その体験記を旅行メディア「Reisen」で執筆し始めたことをきっかけにWEBメディアの魅力を実感。帰国後「IDENTITY名古屋」でライターインターンを始め、現在に至る。