検索には出ないローカル情報はご近所に聞こう。Googleが地域情報アプリ「Neighbourly」を出す理由

東京に住む筆者は、近所付き合いがほとんどない。今住んでいる部屋の隣に住む人の名前も知らないし、地域の行事に出て誰かと交流したこともない。多少の寂しさはあるが、正直それで困るわけではない。

ただし、その街へ引っ越してきたばかりの頃は別だ。「評判の良い歯医者はどこ?」「ゆっくりできるカフェは?」など、知りたい情報があっても、近所の人に話しかけるわけにはいかない。

以前はインターネットで調べればいいやと思っていたし、検索すれば山ほど情報は手に入る。けれど、営業時間や住所が更新されていなかったり、誰が発信しているのか、実際の体験にもとづいているのかわからなかったりすることも多い。検索上位のページをみると、どのサイトにも似たような内容が微妙に違う文章で書かれていて、肩を落としたことも一度や二度ではない。

こうした状況をGoogleも課題に感じているのだろう。同社は先日、近所に住んでいる人同士で街について質問・回答できるアプリ「Neighbourly」のベータ版を公開した。

実際にその街で暮らす人に質問できる「Neighbourly」

Neighbourlyは、テキストや音声で質問を入力すると、近所の人から回答が届くシンプルなQ&Aアプリだ。

質問を入力するとカードが生成され、近所に住むユーザーに表示される。ユーザーはそれらのカードから答えたいものに回答を送ることができる。カードをフォローしておくと、回答が送られた際に通知が届く仕組みだ。

質問例には「スクーターを修理したいのですが、この近くに信頼できる整備士はいますか」や「サルワール・カミーズ(インドの民族衣装)をすぐにリメイクしてくれる店は知らない?」などが挙げられている。

現在、Neighbourlyはインド最大の都市であるムンバイにおいてのみ利用できる。ムンバイは1800万人の人口を抱え、農閑期には郊外から多くの人が仕事を求めて訪れるなど、人の移動も激しい都市だ。その街に住む人だけが知っている地域の情報への需要は高いだろう。

“ご近所コミュニティ”を紡ぐQ&Aアプリ

実際にその地域に住む人同士がオンラインで情報を共有できるアプリとして、欧米では「Nextdoor」が知られている。同社のミッションは「世界中で近所に住む人同士が助け合う、より強固で安全で幸せなコミュニティをつくるプラットフォームを世界中に届ける」こと。2010年にローンチし、アメリカやオランダ、ドイツ、フランスの4ヵ国でサービスを展開。現在の評価額は10億ドルを超える

また国内では「ご近所の人々とのつながりを通して、地域の課題を解決する」を掲げ、2016年に実名制の“ご近所SNS”「マチマチ」がサービスを開始。2018年6月時点で、市区町村ベースで日本全国の54%以上の地域で利用されているという。渋谷区や千葉市、さいたま市など自治体との連携も進めている。

GoogleはNeighboulyが「質問・回答をやりとりする、人間的で、役に立つ、ローカルな手段」だと述べている。検索窓に質問を打ち込み、アルゴリズムによって最適化された情報が得られるのとは異なる体験を、私たちに届けようとしているのかもしれない。

またNextdoorやマチマチと同様、Neighbourlyのミッション文には質問や回答のやり取りを通じて、「ご近所同士の繋がりを深めていく」と記されている。

私自身、エレベーターで居合わせた人に話しかける勇気は出ないが、オンラインなら少し隣に住む人と交流してみたい気もする。Googleによってどのようなご近所づきあいが紡がれていくのだろうか。使ってみた人たちの感想が楽しみだ。

The Good
The Bad
佐藤 由佳

1993年東京・高円寺生まれ。理学部を卒業後、Web制作ディレクターを経験。1年で退職後フリーライターに。現在はビジネス・テクノロジーを中心に取材記事などを執筆。趣味は自然豊かな場所に行くこと。Twitter:@y_lovearth

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