”レゲエの偉大な父”ボブ・マーリーのドキュメンタリーから、ヒップホップの歴史とイマまで–Netflixで観れる音楽ドキュメンタリー3選 #UNLEASHネトフリ

日々Netflixからリリースされるオリジナルコンテンツの中から、UNLEASH編集部がキュレーションしたおすすめ作品をご紹介。今週は、社会や歴史を動かす偉大なミュージシャンを追うドキュメンタリーに作品をピックアップ。

DVDの宅配サービスから、映画のストリーミング、そしてオリジナルコンテンツの制作へと注力してきたNetflix。2018年には、Netflixは1000本のコンテンツ制作を検討している。

日々Netflixからリリースされる作品の中から、UNLEASH編集部がキュレーションしたおすすめコンテンツを紹介するこの連載。

今回は、ジャマイカから生まれた偉大な音楽家を軸に音楽が社会や歴史、文化に与えた影響の大きさを実感させてくれる作品をご紹介。

レゲエの神様、ボブ・マーリーをめぐる二つの物語

リマスター: ボブ・マーリー

母は白人男性の子を産んだ。だから人種で侮辱できない。自分なら統一を訴えられる。
『リマスター: ボブ・マーリー』より

10月12日公開されたばかりの「リマスター」シリーズは音楽界のレジェンドを取り巻く、世間を震撼させた事件の真相を紐解いていくドキュメンタリーシリーズだ。第一弾は1976年に勃発したレゲエの神様、ボブ・マーリー暗殺未遂事件の真相を追究する。

  • あらすじ
    白人男性と黒人女性の間に生まれたボブ・マーリー。ミュージシャンとして世界的大スターとなったボブは母国ジャマイカにおいて大衆を動かす大きな影響力を持っていた。一方のジャマイカの内部では、労働党と人民国家党が対立。その対立によって各地で抗争が発生していた。そこで平和を求めるボブはコンサートを無料で開催することを表明。しかし、彼の政治利用を目論む人民国家党の思惑により、結果としてコンサート開催が人々の対立を深め、暗殺未遂事件へと発展していく。
    真犯人は誰だったのか?当時の映像や関係者の取材をもとに紐解いていく。

作品に見どころは、平和を希求したボブ・マーリーという存在の偉大さと、その多大な影響力を受けてなお、解消されることのなかった対立や抗争の根深さだ。ボブの姿に勇気づけられながらも、歴史という大きな流れの非情さに胸を刺される。視聴後はボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの『War』を聞いてほしい。

ボブ・マーリー——ルーツ・オブ・レジェンド

音楽界に鮮烈にあらわれ36歳で逝去したボブ・マーリー。その人生を振り返ったドキュメンタリーが2012年に発表された映画『ボブ・マーリー——ルーツ・オブ・レジェンド』だ。平和を訴える彼の思想だけでなく、音楽のルーツやプライベートにも踏み込んだ作品になっている。

その見どころは、ボブが生涯連れ添った妻リタへのインタビュー。恋愛に奔放で浮気を重ねるボブを伴侶としてだけでなく、ビジネスパートナーとして支え続けた彼女。「ボブ・マーリーの守護天使」を自称し、大スターに寄り添い続けた彼女の力強さに感服した。

もちろん、この作品を見て聞いて欲しいのは『No Woman, No Cry』だ。

そして、ボブ・マーリーの出生地であるジャマイカの都市、キングストンはさらなる偉大な音楽家を生むことになる。それが、ヒップホップの父となるDJクール・ハークことクライヴ・キャンベルだ。

ニューヨーク市のブロンクス区に移民した彼が小さな部屋で開催したパーティーから世界を席巻する音楽界の一大ジャンルが生まれるなんて、誰が予想しただろうか?

ヒップホップの軌跡を辿れる2つの作品

ヒップホップ・エヴォリューション

1970年代にDJクール・ハークのパーティーから始まり、90年代までのヒップホップの歴史を1話50分でおさらいできる今作。ヒップホップの歴史に刻まれた豪華な面々による語りが各時代のヒップホップのありようを確固たるものにしてくれる。

また、ヒップホップと切っても切り離せない社会情勢や文化、歴史について、教科書では学べない、新たな視点から知ることができるというのも嬉しい。

今作を見て、ヒップホップの歴史についてより深く知りたい、と思った方にオススメなのが、『文化系のためのヒップホップ入門』という書籍。ヒップホップの歴史を体系的に学びつつ、オススメのCD情報も添付された入門書で、ライターの長谷川町蔵氏とポピュラー音楽研究者で慶応大学教授の大和田俊之氏の掛け合いも楽しいので読んでみて損はないだろう。ちなみに続編となる『文化系のためのヒップホップ入門2』が販売されたばかりなので、そちらもチェックしてみてはどうだろう?

RAPTURE——ヒップホップの世界

『ヒップホップ・エヴォリューション』で90年代までの歴史を学んだ後は、ヒップホップの今を垣間見せてくれる『RAPTURE——ヒップホップの世界』を見るのがオススメだ。

Logic、T.I、Rapsodyなど、現代のヒップホップ界を牽引する面々の生い立ちから思想までを追う『RAPTURE——ヒップホップの世界』は、ラッパーの最先端を見せてくれるとともに、現代の若者が抱え込む様々な問題について教えてくれる。

例えば、Logicを追ったシリーズ第1回の終盤で流れる「1-800-273-8255」は自殺を望む若者の絶望と再生を歌っている。タイトルとなる1-800-273-8255は、自殺予防相談の電話番号だという。強さを歌うヒップホップの世界を逆行するように弱さをさらけ出すLogicの姿が多くの若者を力づけていく様子に胸を打たれる人も多いだろう。

今週のNetflixニュース

10月16日、Netflixが2018年第3四半期の加入者数を発表。当該期間中の加入者は696万人に登り、加入者数は1億3710万人に達したそう。この結果を受け、Bloombergは、オリジナル番組にさらに多額の投資を行う可能性があると報じた。

大藤ヨシヲ

文芸作品や映画のレビューを主に行うフリーライター。大学在学中に結婚・妊娠・出産を経験。趣味は読書、自撮り、ラップバトル鑑賞。関心領域は、自然科学・テクノロジー・教育。 Twitter:@pndyk77